サンドリヨンは微笑まない
ぼんやりしていたのはあまり思い出したくないのと、バレたら何を言われるのか怖いという思いと。
遼にこの原因を知られること。
「ショーの帰り道、何があったの?」
「…よく覚えてないです。岸田さんと平井さんと別れた後のこと、よく思い出せなくて…」
嘘を吐いた。
心配するお母さんの後ろで、お姉ちゃんはどうでも良さそうに外を見ていた。
「まあ、今日のところはこれで。またお見舞いに来るねホタルちゃん」
平井さんが岸田さんの肩を叩いて言った。
二人を見送ると言って、お母さんは立ち上がって行ってしまった。