サンドリヨンは微笑まない
二人きりになった病室で、あたしは何を言えば良いのか分からなくなって、黙る。
お姉ちゃんがこっちを睨んでいるのは分かっていたけれど。
「家に来るつもりだったの?」
問われた言葉に返せない。あたしはただ視線だけをお姉ちゃんに向けた。
「六月の光熱費、お母さんに払って貰ってたよね? もしかして金集りに来たの?」
「…そんなことしない」
「猫被ってるみたいだけど、ちゃんとマネージャーさんとかには言ったら? 元レディースもどきですって」
鼻で笑うお姉ちゃん。もうそんなのには慣れている。