サンドリヨンは微笑まない

ずっしりと重いそれを軽々と持っていたことを思うと尊敬してしまう。


「それ、あんたがこれから頭に入れる重さ」


指差される鞄。これが、これからあたしの頭の中に。

想像すると少しぞっとする。


「勉強も料理も出来ないのは今日だけでよく分かった」

「うん」

「でも、皆最初からそんなこと出来たわけじゃないだろ。あんたは皆がそれを習ってる間に、違うことを頑張ってたんだろ」


頑張ってた。

言葉がじんわりと心の中に沁みる。


「うん」

「だから、これから頑張れる」

「うん、頑張る」



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