サンドリヨンは微笑まない

はい、と一人一人に渡されていくそれ。

なんだか呆然としてしまって、メロンを口に入れる。瑞々しくて甘い。


「良いんじゃないの? 岸田さんはホタルちゃんを守りたい一心で履歴を消した。ホタルちゃんは自分の保身の為に記憶を消した」


藤堂さんの言っていることは何も間違っていない。


「社長が探偵なんて姑息な手使わなかったら、穏便に事が済んでたのに。ねえ、遼くん」

「え、ああ、まあどっちにしろ」


遼を見ると、今度はこっちを向いていた。


「螢が無事なので、良かったです」




< 397 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop