サンドリヨンは微笑まない
ぺた、と頬に手が届いた。
見下ろす目が、優しい。
「無事で良かった」
「…うん」
「けど、すげームカつく。あんたの逃げ腰を根本から叩き直してやりたいくらいだけど」
怖い怖い怖い。なんだか事務所に入るか入らないかとなった時の遼を思い出す。
「それはいいや。退院したら、遠慮なく色々聞くからな」
「う、あ、はい…」
オーラに圧倒されて返事をした。
それから、触れるだけのキスをして、遼は帰っていった。