サンドリヨンは微笑まない

なんとか試験期間を乗り切って、答案返却までの休みに遼の家へ行った。

殆ど傷は治っている。

リビングはこの前みたいに絵の具は転がっていなくて、綺麗。


「あー…なんもない」


徹夜は体に堪えて、夢現の中で遼の声を聞く。


「スーパー行ってくる」

「一緒にいく」

「眠いならベッドで寝てて。ちゃんと暖房かけて毛布かけて」


その言葉に返事をしたんだか、してないんだか。

あたしは本能的に遼のベッドに辿り着いて、もそもそと毛布の中に潜り込んで眠る。

入院してから身体が弱くなった感じがして、嫌だ。



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