サンドリヨンは微笑まない
「それが岸田さんに対する責任とかだったら、やめといた方が良い」
「そんなんじゃないよ」
ただ、あたしは逃げてばかりだった。
「色んなものから、逃げてモデルになっちゃったから。今度は、ちゃんと向き合って解決してから、頑張るの」
そして、ふと思い出す。
あの表札の字。
「あんたなら、頑張れるよ」
「遼が言うなら絶対だね」
「そんな期待を込められても困るけど」
手を引いてくれた。
「まず夕飯から」
遼の言葉に立ち上がって、部屋を出る。廊下の電気を点けると目がチカチカする。