サンドリヨンは微笑まない
首を傾げると、隣人はあたしの後ろに目を向ける。
「伊月、俺またここ?」
「…うるさい。小野寺がこの前休んだからでしょう」
「えー、席替えあんならメールくれよ!」
「帰りに急に決まったの。それに寝込んでたくせに学校なんて来ないでよ」
後ろの女子が起きたらしい。
挨拶する暇もない会話が飛び交う。
まあいいや。静かにしてれば目立たないし、授業を受けてさっさと帰ろう。
こく、と一人頷く。
「もしかして俺と同類? 休みだった?」
小野寺、と呼ばれた男子があたしに向かって言う。
頷くか否か迷う。
あたしのは休みというよりサボりだ。