サンドリヨンは微笑まない

「樋口と知り合いだったのか。なんか縁を感じるな」


え? と遼を見上げる。


「卒業おめでとう」

「ありがとう、先生のこと知ってるの?」

「三年間担任だったから」


先生が代わりに答えた。少し遼と雰囲気が似ていると思ったのは、それがあるからなのか。

先生写真撮りましょー! とクラスの子に呼ばれてそっちへ行く先生。

あれが遼の未来なのかと思うと、少し寂しい。


「答辞やったんだって? もう少し早く来れば良かった」

「来てほしくないから言わなかった」

「なんで」

「緊張して噛むと思ったから」



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