サンドリヨンは微笑まない

なんだそれ、と遼は笑った。








あたしがモデルを辞めた翌日、テレビでヨツカイさんとショーが映されていた。

その業界ではあたしのことが色々噂になったらしい。それは芦花ちゃんから聞いた。

置き去りにした荷物を事務所へ静かに取りに行ったところで、藤堂さんに会った。


「本当に辞めちゃうんだ」

「…はい」

「あたし、ホタルちゃんくらいの娘いるの。一緒に居るわけじゃないけど、なんとなく分かるよ」


荷物を見て悲しい顔をしていた顔はどこへやら。

藤堂さんは自信に満ち溢れた笑み。


「ホタルちゃん、次戻ってきた時、開花するって」


大物女優は、そう吐いた。






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