サンドリヨンは微笑まない
エピローグは語り尽くせない
隣に並んだ螢が、駅前のモニターを見上げる。
先程とは違うCDのCM。
PVに採用されたそれが、音楽と共に流れた。
雑踏の中、歩いていた傘をささないあんたが他人の傘の隙間から見える。
ふと、こっち側と目があった。
傘を持っているらしい視点が、傘を差し出す。
そこで、妖艶な笑顔を作りながら涙が水滴か分からないモノがあんたの頬を伝う。
「幸せすぎて、怖いの」
声はない。口元がそう動いた。
それから次のCMに移った。
気づけば螢は俺の方を見ていた。
「あれ、可愛いでしょう」
にこにこ聞く表情は幼い子供のようで。