サンドリヨンは微笑まない
雑居ビルの中を歩いていく。
「特に」
正直な感想を伝えると、特別しょんぼりした様子も無く「だよね!」と同調した。
たまに、螢の思考回路が読めない。
それを前に口にしたら「あたしもよくわかんない時がある」と言われた。
それって自分の思考回路か? それとも俺のことか?
今更そんな疑問を頭に浮かべて、一つのビルに入る。
ここに来るのは、初めて。
「平井さん居るかな?」
「確認せずに来たのか…」
「昨日聞いたらいるって言ってたよ? でも多忙な人だから、たまにいなくなっちゃうんだよね」
一応社長だからな。