サンドリヨンは微笑まない
答えるより先に後ろから声が聞こえる。
「網島さんは仕事じゃないの?」
思わず口を開けた。
振り返ると、ああこの人だったんだって思ったけれど名前はちゃんと覚えていなかった。
ナチュラルメイクの凛とした雰囲気をもつ女子。そうか、この人が伊月さん。
「仕事って? アブナい仕事?」
わくわくとした表情で聞いてくるこの人は小野寺くん。
よし覚えた。
丁度教室に先生が入ってきて、小野寺くんも伊月さんも前に向き直った。
あたしも見様見真似に向き直って、視界に窓の外の空が見えて、なんか良いなとおもった。