サンドリヨンは微笑まない
近くの公園の屋根のある場所に入る。
いつもは子供が遊んでいるのであろう噴水も、滑り台もブランコも、今は夜の雨に濡れている。
ベンチの上で膝を抱く。周りに人なんて来ないんだから、とワンピースのことなんて気にせずに。
腕が冷たい。
さっきまでうまく息が出来なかったみたいで、深く息を吸う。
落ち着くと、目頭が熱くなってきた。
「だめだめ」
「なにが、」
カサ、とビニール袋が風に揺れる音。
驚いて顔を上げると、自分の化粧が落ちていることが頭を掠めたけれど暗いから見えない。
見えた人は男。こちらを見下ろす眼が、冷たい。