サンドリヨンは微笑まない
玄関の扉が閉まる音が聞こえてから、軽くそっちを睨んでおいた。
平井さんがエレベーター乗るまでに二回転びますように。
「何で膨れっ面?」
「何でもない。あたし勉強したら帰る」
「は? 今日はミネストローネだけど。しかもあんたの分も買ってきたんだけど」
「だめ、今日は帰って豆乳飲んでキャベツ食べなきゃ」
あ! と、鞄から財布を出す。
あ? と、遼が怪訝な顔をする。
千円? 二千円、で足りるかな。てゆーか持ち金がこれしかない。
「今月の夕食費」
顔色が変わった。