サンドリヨンは微笑まない
少し怖くては視線が泳ぐ。え、あたし何かした?
「要らねーよ。誰も欲しいなんて言ってない」
「でも、あたしの気が済まな…」
「済まなくて結構。早くしまえ、そして飯はちゃんと食べろ」
「タダでご飯食べさせてもらって勉強も教えてもらって、遼にメリットないじゃん」
「俺は人が良いから良いんだよ」
なんで良いの。
頬が更に膨らむ。行き場のなくなった二千円が窓から入る風にはためく。
遼がソファーに座ってしまって二千円が可哀想になったので、あたしはそれを財布に戻した。
平井さん通して渡したら受け取ってくれるかもしれない。