サンドリヨンは微笑まない
怒鳴られるかと思って構えたけれど、遼は静かだった。恐る恐る見ると絶句していた。
予想を超えた反応。
「…遼さん?」
「てことは…期末で赤点の倍取らないといけないのか…」
「そうなる、みたいですね」
「その日の試験終わったらアトリエ来て。課題片手に教える」
アトリエってどこに? もしかして大学に?
その疑問が遼にも伝わったらしく、「大学」そう言って立ち上がった。
それは少し楽しみ。…じゃない、単位を落としたら留年…。
「じゃあ今週で今までの所全部やって試験で満点取れ」
「満点とか、無理」
「無理じゃない。やんだよ」
幻覚だろうけど、一瞬遼の後ろに平井さんが見えた。