サンドリヨンは微笑まない
この人、危ない人かもしれない。
足を下ろす。いつでも逃げられるように。
まずは挨拶だ。
「こ、こんば」
そこであたしのお腹の。
「……腹減ってんの?」
お腹の虫が鳴った。
しかもかなり大きい音で。
首を横に振る。
嘘、今日は朝に茹でたアスパラを二本食べただけ。
そんなのはお見通しのようで、彼はコンビニのビニール袋の中から小袋を出して、あたしの方へ差し出す。
それから目を逸らした。
ちゃんと見たけれど。チョコレートだってちゃんと分かったけれど。
再度首を振る。
「食べられないとか?」
まさか、チョコレート嫌いな女の子の気がしれない。