サンドリヨンは微笑まない

この人、危ない人かもしれない。

足を下ろす。いつでも逃げられるように。

まずは挨拶だ。


「こ、こんば」


そこであたしのお腹の。


「……腹減ってんの?」


お腹の虫が鳴った。
しかもかなり大きい音で。

首を横に振る。

嘘、今日は朝に茹でたアスパラを二本食べただけ。

そんなのはお見通しのようで、彼はコンビニのビニール袋の中から小袋を出して、あたしの方へ差し出す。

それから目を逸らした。

ちゃんと見たけれど。チョコレートだってちゃんと分かったけれど。

再度首を振る。


「食べられないとか?」


まさか、チョコレート嫌いな女の子の気がしれない。




< 6 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop