サンドリヨンは微笑まない
伊月さんがお弁当箱の蓋を開けてから言う。
「網島さん、がり勉キャラ狙い?」
「これは…あたしが馬鹿で要領が悪いもので…」
「あ、そっか。留年したんだもんね」
この人…平気で傷に塩を塗りたくってくる人だ!
最近話すようになって知ってはいたけれど。
「まあ、あたしも人のこと言えないけど」
野菜ジュースを飲む音。あたしは伊月さんの方を向く。
「…え? もしかして伊月さんも」
「私は留年してません」
「ですよね…!」
少し疑ってしまう一瞬だった。