サンドリヨンは微笑まない
五限目は化学の実験。
隣に伊月さんも並んで、なんとなく廊下を二人で移動する。
「なんか並ぶと背でかい」
そう言って途中の階段で合流したのは小野寺くん。
あたしの背が高いのは兎も角。なんたってモデルですから。でも、伊月さんも結構高い。そして小野寺くんも同じくらいの高さだから、並ぶと壁みたいになる。
「なんの部活勧誘?」
「んー? バレーとバスケとサッカー」
「すご。入らないの?」
「だって高校では遊んでたいし」
そうなんだ、そういうもの?
「この人、運動なら万能なのに。勿体ないよね」
伊月さんの言葉に驚く。言葉の意味ではなく、伊月さんが小野寺くんを褒める言葉を言ったのが。