サンドリヨンは微笑まない
遼の家に行ったけれど、無人。
眠ってるのかと何度かチャイムを押したんだけど、誰も出てこない。
頬を膨らせながら扉に寄りかかる。
そういえば遼の連絡先知らないな。
「ごめん」
「せんせー遅いでーす」
「バイト上がるの遅くなった」
バイト行ってるんだ。と初耳情報。
途端に責めた言葉が重くなる。
鍵を出して開けた遼がこっちを向いた。
「あのさ、忙しいなら、本当にいいよ」
「あ? 今更逃げ腰か」
「そうじゃなくて。遼だって大学生じゃん、なんか自由な時間取るの申し訳ない…」