サンドリヨンは微笑まない
なんでこの人、こんなに人が良いんだろう。
同じ人間なのに、食べてきたものが違うから? それとも育った境遇が違うから?
嬉しい。そういう気持ちと一緒に生まれる、羨ましい。
「…ありがとう、遼」
「いーえ。つーか、螢さん」
「はい、」
「俺はこのままあんたを引きずってけば良いの?」
あ、そうでした。
パッと離れると、クスクス笑われて少し目が泳ぐ。
今のは本能的にしてしまっただけで、深い意味はないし。
あたしは靴を脱いで先に玄関に上がる。リビングへ向かった。