サンドリヨンは微笑まない
「チョコレート、」
「あたし、一週間でやっと四キロ落としたんです」
だからなんだって、言った後に思った。
何の関係もないこの人には何も分かりはしないのに。
良心であたしにチョコレートを差しだしてくれているだけなのに。
あ、この人良い人なんだ。
何かを考える顔をしていた彼は、ひとつしかないあたしも座っているベンチに座った。
「なんで? あんた、もしかしてレスリング選手?」
「レスリング…?」
「そんな細かったら折られるぞ」