サンドリヨンは微笑まない
なんとか試験期間を迎えた。
「網島、大丈夫?」
「え?」
「真っ直ぐ歩けてない」
小野寺くんに言われて足下を見る。昨日はよく眠ったんだけど、精神的に参っていた。
「試験ヤバかったん?」
「ううん、多分大丈夫…かな」
「えー補習仲間募集中だったのに」
「心から遠慮する!」
ケラケラ笑った小野寺くんは掃除当番の伊月さんを待っていたらしくて、姿が見えると手を上げた。
「よー補習仲間!」
「は? 運動馬鹿と一緒にしないでくれる?」
「今心にグサッときた」
胸を押さえる小野寺くんを一瞥して、伊月さんはあたしの顔を覗き込んだ。