サンドリヨンは微笑まない
しゃくしゃくと食べていると、隣でチョコレートをパリパリと食べ始める遼。
「遼って甘党?」
「そういうわけでもない」
「最初会った時にチョコレート買ってたよね」
「あれ希美が買ってこいって煩かったから」
のぞみ。
あたしが見たあの絵の中の人に名前がつけられる。
まあ、あたしだってホタルだし。一人で比べて、結局自己嫌悪。
なに絵の中の動かない人と張り合ってんの、あたし。
妹としか、言えなかったくせに。
「遼ーいるー?」
ガラリと引き戸が開いて声がした。
女の人の声に体が固まる。