サンドリヨンは微笑まない
あたしの傷。
自分のは守るなんて、狡いなあ。本当に。
あたしは、ずっと自分に甘くて狡いまま。
「あんたにまで気遣われるとか」
「みんなに頑張れって言われてたね」
「ああ、でも結構助かる。悪いな」
「ううん、こちらこそ今までありがとう」
頭を下げた。きょとんとした遼の顔がなんか可愛くて、笑う。
「きっと、遼が先生として学校に居たら、あたしも留年しなかったんじゃないかな」
本当に心からそう思う。
「当たり前だろ」
なんて遼らしいことを言うから、やっぱり笑ってしまった。
「試験頑張れよ」
「うん、ばいばい」
コンビニの袋は前途多難そうな恋心と一緒に駅のゴミ箱に棄てた。