サンドリヨンは微笑まない

今日は事務所を移動してから初めて他のモデルと撮る。

あたしの方が断然新人なので、先に行って待つ。

さらさらの黒髪の子が来て、どこかのぞみさんを彷彿とさせる。

忙しくて忘れていたのだけど、そういえば遼に何にも言わずに勉強サボってる…。


「ホタル、あの子すごい性格キツいって聞くから。慎重にね」

「はーい…」


やだなあ、と心の中だけの声。

年下なんだけど、やはり気を遣う。女の関係っていうのは女らしいだけ、ドロドロしている。


「お願いします」


一応微笑んで頭を下げる。

あたしの方が身長は高くて、彼女が見上げる姿勢になっていた。


< 96 / 432 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop