サンドリヨンは微笑まない
今日は事務所を移動してから初めて他のモデルと撮る。
あたしの方が断然新人なので、先に行って待つ。
さらさらの黒髪の子が来て、どこかのぞみさんを彷彿とさせる。
忙しくて忘れていたのだけど、そういえば遼に何にも言わずに勉強サボってる…。
「ホタル、あの子すごい性格キツいって聞くから。慎重にね」
「はーい…」
やだなあ、と心の中だけの声。
年下なんだけど、やはり気を遣う。女の関係っていうのは女らしいだけ、ドロドロしている。
「お願いします」
一応微笑んで頭を下げる。
あたしの方が身長は高くて、彼女が見上げる姿勢になっていた。