サンドリヨンは微笑まない
黒目がちの大きな目。良いパーツを持ってるなあ、と思いながら隣に並んだ。
「名前は?」
「ホタルです」
「ふーん、飯田千穂。よろしく」
年上にも屈しない態度は気に入ったけれど、なんか面倒くさそう。
そんな思いは喉の奥の方へ押しやって、カメラの奥にいる岸田さんを見た。
落ち着けってジェスチャー。あたしはそんなに血の気が多い方じゃないけどね。
「はーい、じゃあ最初に数枚撮っていきまーす」
カメラマンに向かって決められたポーズを撮る。何枚か撮った後に、着替えてもう一度。
夏のキャミソールとカーディガンを着て、鏡の前に出る。