*Pure love*
***
そして五日.花香と一緒に電車で舞浜駅へ向かう.
「楽しみだねー.バッチリ晴れたし」
「そういえば花香,宿題終わった?後今日も入れて二日しかないけど」
「ううんと…大丈夫!あと作文だけだもん!」
「それ,一番宿題の中で厄介じゃん…」
舞浜駅に着くと,郁馬と男の子が他に二人立っているのが見えた.
「郁馬―着いたよ!」
花香が呼びかけた声で,郁馬が振り返った.
「やっと着いたか」
同時に男の子たちも…あれ?
「織本君と桜田君じゃない」
「あれっ,佐藤?」
「佐藤さん?」
思いがけずクラスメートの男子に会った.
「えっ,もしかして知り合い?」
「クラスメートだよ.っていうことは,サッカー部の友達っていうのは…」
「この二人だよ」
郁馬と織本君たちが友達だったことに驚きながらも,とりあえず
「じゃあ,チケット買いに行こう.みんな揃ったんだし」
みんなを促す.
花香と郁馬は二人で喋りながらさっさと行ってしまった.必然的に織本君と桜田君と一緒に歩く.
黙っていてもなんなので,適当に話題を探す.
「そういえば私服を見るのは初めてだね!二人ともいつもそんな感じなの?」
「これ?あー,まあそうだな」
「いつもこんなんだよ」
桜田君はキャップにパーカー,ジーンズ,スニーカーを履いていて全部黒い.
織本君は,オレンジっぽい柄T,オレンジのチェックシャツ,ベージュのパンツにスニーカーで明るい色でまとまっている.
二人とも制服とは全く違った雰囲気でとても新鮮.
「それ言うなら佐藤さんも.私服っていつもそんな感じなの?なんかいつもと違って見えるよ」
「私?そうかな,違って見える?」
まぁ確かに学校とは違うかもしれないなとは思った.
黄緑色のチュニックに焦げ茶のショートパンツ.いつも縛っている髪の毛はほどいて,カチューシャでとめている.
「そうかなぁ.普段はこんな感じだよ」
「へぇ.ちょっと意外,佐藤がそんな感じなの」
「うん.新鮮だよね,似合っていると思う」
ありがとう,はにかみながらお礼を言う.
「ほら,杏樹達行くよー」
「早く,早くー」
前方にいる二人に急かされ,ちょっと急ぎ足で行った.