*Pure love*

 ***

 やっぱり織本君はカッコいいなぁ.日誌を書く手を止め,練習を見ていると

「…なぁ.佐藤」

 いきなり声を掛けられてびっくりした.見ていた風景から顔を戻し尋ねる.

「何?」

「あのさぁ…佐藤って,もしかして晃太のこと…好き?」

 ば,ばれている!?

「ええっとその…」

 思わず頬が赤くなる.その様子を見て察したのか,そっか,と呟く.うつむいていて顔は見えない.

「やっぱりな.最近の様子見て思ってたんだ.…晃太すんげー鈍いけど,がんばれよ」

 顔をあげてにっこり笑って立ち去った.ちょっとだけ笑顔に見とれてた自分に気づく.さすがサッカー部の花形….にしても

「はぁ.桜田君にもわかるなんて…」

 私ってそんなにわかりやすいかな?誰もいなくなった教室の中でなんとも惨めな気持ちになっていた.
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