*Pure love*
九章 衝撃
それから、郁馬に会いに行く花香にくっついて、サッカー部によく行くようになった。
目は桜田君を探していた。
桜田君はやっぱり花形と言われるだけあって、かっこよかった。
部活をしている織本君を見かけると、ドキッと一瞬するけども、直ぐにすっと冷えてチクリと胸が痛む。
練習できれいなゴールを決めて、織本君と桜田君が二人で笑い会った。優しい顔にドキッとする。どちらにドキッてしたのかはわからなかった。
***
サッカー部の練習を見る習慣がついてから早一カ月。でも、私も部活があるからそんなに頻繁には見に行けない。
「杏樹、台だそう」
花香に手招きされてふらふらと近寄る。
ちょうどその日は熱っぽくって頭痛がしていた。
「ちょっと杏樹大丈夫?」
気をつけてね、花香が言ったのにも、曖昧にしか返事を返せない。
いつものように、台を引っ張って、回転させようとしたその時だった。
台が引っ掛かって上手く回転できずに真横に倒れた。
「えぇ!?ちょ,ちょっと!杏樹支えて!」
花香は必死で支えたが、私の力が出ずにそのまま
バーン!
意識がもうろうとするなかで、花香の叫び声と左足にすごい痛みを感じたのがわかった。
***
気がついたのは保健室だった。白い天井がぼんやりと見える。
「あれ?………痛っ!」
体を起こすと左足に激痛が走った。
「あぁ、まだ安静にしてなくちゃダメよ」
保険の先生が慌てて私をベッドに倒す。
「左足が痛いでしょう。あなた、台に押し潰されて、足に結構ひどい怪我を負ったの」
見ると足に包帯が巻かれていた。
「歩くのが不便になるわね。階段とかも大変になるからエレベーターを使いなさい。…あぁ、部活は絶対にダメよ。顧問の藤波先生には話をつけといたから」
ふぅ、枕に顔を沈める。
大会が終わっていたのが幸いだ。
「それに加えて熱が高くて倒れちゃったのよ」
今日は迎えに来てもらいなさい。
家の電話番号を先生に伝えて、ウトウトと二度目の眠りについた。