*Pure love*
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その後、グラウンドにいって郁馬に、妙ちゃんと織本君が付き合っていたことと、フラれたことの経緯を話す。
「…そっか」
さすがに気まずそうな顔をした。
「それだったら、なんとかそのことに触れずに元気づけなきゃな」
ありがとう、郁馬にお礼を言われて首を振る。
「じゃあ帰るね」
そのまま背を向け家に帰った。
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織本君のことで頭の中がぐるぐるしている。
ベッドに頭から突っ込んだ。
「頭が痛いなぁ」
織本君に失恋して、桜田君に告られて、そこから桜田君のこと気にし始めて、そしたら、いきなり別れたって。
私まだ織本君のこと好きなのかな?でもちょっと桜田君も気になるし。
思えば、桜田君は色々なところで助けてくれていた。織本君しか見てなくて気がつかなかったけど、ちゃんと見てれば、好きでいてくれたことに気づけたかな?そうしたら、桜田君がむやみに傷つくこともなかったのかも…。
「あぁ、もう。やめやめ!」
こういう時に自分の想像癖がひどいことを恨む。悪い方向にしか考えられない。でも、何にせよ
「人の気持ちって難しい…」
頭を抱えるしかなかった。
***
次の朝の登校時間。
花香に昨日のことを話した。
花香は目を大きく見開いて
「それ本当?えー本当?」
何度も聞いてくる。花香の問いのひとつひとつに頷き返した。
「あー意外、ものすごく意外!!」
ひとしきり騒いだ後、テンションを落とす。
「それで?本当に織本君ふられたわけ?」
「可能性は高いね。妙ちゃん自身が言ってたから」
昨日の言動からすると妙ちゃんがふったって感じだったと付け加える。
「それで?…織本君フリーになったっぽいけど」
杏樹の気持ちは?聞かれてたじろいだ。
「それは!…わからない」
桜田君の事が頭を離れない。頭をガクリと下げた。
織本君への熱も冷めかけてきたのに、今ならいけるかもなんて、そんなことを思ってしまう自分にも呆れる。
「何て神様は意地悪なんだろう」
「気まぐれなのよ、きっと」
慰めか、花香が私の肩を叩いた。
「まぁ、杏樹しだいだよ。頑張れ」
「余計悩ますようなこと言わないでよ〜」
軽く頭を抱える。
桜田君への気持ちと、織本君への微かな期待に私は揺らされていた。