*Pure love*
***
その夜。
布団の中に潜り込んだものの、なかなか寝付けずにいた。
色んな事が頭の中でフラッシュバックしている。
始業式の日、駅で見た織本君の笑顔。
次の日、楽しそうに笑った桜田君の笑顔。
ゴールデンウィークに転びそうになった私を支えてくれた手。
校外学習で芦ノ湖のフェリー乗り場で転びそうになった私を支えてくれた手。
付き合うことになったんだ、と報告した織本君の照れた顔。
佐藤の事好きだから、と告白したときのいつになく真剣な桜田君の顔。
妙ちゃんと話していたときのとっても楽しそうな表情。
体育館倉庫で告白されていたときの戸惑った様な困った様な表情。
妙ちゃんにフラれて落ち込んでいた様子。
封筒を渡したときの屈託ない笑顔。
また、諦めるの?
ふと、その感情が浮かんできた。
怖いから逃げるの?また後悔して泣くの?
ううん。違う。首を振る。
言わなくちゃ。もう後悔したくない。何もしないで諦めたくなんかない。
布団の中で震える右手を左手でギュッと握った。
***
翌日、花香と登校して織本君と桜田君と話した。
授業を受けて、その子がトイレにたった休み時間、気づかれないように、その子のバックの中に左手でそっとメモをいれる。気づいてくれるのかは、神のみぞ知る…といったところだろう。
その後の休み時間。こっちをチラチラ見ていた様な気がしたけど本を読んでいるふりをした。
メモには
『放課後、校庭裏の桜の木の下に来てもらえる?ちょっと用があるから』
と書いておいた。