*Pure love*
番外編 京太side 京太×晃太
自慢じゃないけど、自分の容姿が女子を騒がせているのは自覚してるし、
サッカー部の…まぁエースっていうわけじゃないけど、戦力になっているとは思う。
でもその事で騒がれるのは正直ニガテ。
騒がれ出された小学校の高学年のときは、色々と男子内で疎まれてよく一人で過ごしてた。
そのまま中学にあがり、前のガッコの奴とは全然話さなくなった。
まぁそんなもんだよな。
俺自身、話しかけんな、オーラ出して、冷めきってた。
そんな時
「ねぇ、君」
振り向くと同じサッカー部で、目立ってた奴が笑っていた。
「桜田京太君…だよね。一緒に食べていい?」
ひょいと、ビニール袋を掲げて見せ、前に座る。
この状況で断れないじゃんか。仕方なく、いいよと頷いた。
「俺のこと知ってる?」
「織本…だっけ?部活の時に見かけた」
「そうそう。俺、織本晃太っての。京太と晃太って似てるよな」
織本はそう言って笑った。
その後も、
「桜田君ってパン派?俺はご飯じゃないとダメなんだよね〜」
だの
「俺、弟と妹いるんだけど、最近反抗期かうるさいんだよ」
だの、こちらから話す暇なく自分でずっと話していた。
それなのに振り払えなかったのは、やっぱり晃太が話上手だったのだろう。
いつの間にか、話を楽しんで聞いていた。
「あっ、なんだ意外と気さくな奴じゃん」
しばらくして、驚いたように織本が目を見はる。
「いやー、もう明らかに一匹狼の雰囲気かもしだしてるから、もっと気難しいかと思ってた」
まぁ、これからよろしく。今までとは違った笑顔で笑った。
それから晃太つながりで友達ができて、小学校のときと比べて断然学校生活は楽になった。
晃太が察しはいいのに、自分のことに関して鈍いのも知って、今に至る。
***
「あーテストだりぃー。サッカーしてー」
放課後、図書館の自習スペースで晃太が弱音を吐く。
テスト一週間前をきったので、部活は一旦テスト休みに入った。
「ってか、このくらい、サクッと出来ないのかよ」
晃太と同じ時間に始めた問題集。俺の半分しか進んでないし。
「基本だろ、ココ」
「わっかんねぇよ」
「ちょっと待った、教えてやっから」
一旦、自分の勉強を置いといて、晃太の相手をする。
「…はい。証明終了」
「おー!そういうことか!」
こっちを見て笑った。
「さすが俺の親友の京太だわ!わかった。サンキューな」
「…親友はまずスルーしといて、理解できたなら良かった」
「そこはスルーするなよ」
頬を軽く膨らませた。…女子か。
「おー!桜田と織本じゃん」
振り向くとクラスメートの男子の奴ら。
「織本、桜田に教えてもらってんの?うらやましー」
「学年トップクラスの教師かよ?ずりぃ!」
「へへっ、いいだろー!」
「お前ら本当に真面目だなー」
「だって、テスト落っこったら部活ストップだから。顧問怖いんだよ、な、京太」
「…あぁ」
本当の本当は、けっこう晃太には感謝してる。
こうやって、友達と勉強したり、笑いあったりできるのも、あの時晃太が声をかけてくれたからだと思ってる。
ココはすごく居心地がいいんだ。
前はいらないと思ってたもの。
「…よし、教えてほしい奴、今から一時間限定で教えてやる」
「え、京太!?」
「おっしゃ!んじゃあ桜田ここ教えてくんね?」
「んじゃあ、俺もー」
「…俺の京太がぁー」
「うん、じゃあ、始めっか」
こんな時間があってもいい。
「本当は晃太のこと親友だと思ってるよ」
小さく呟く。
「え、京太何か言った?」
「…別に何も?」
あ、でも佐藤は渡さないよ?
それとこれとは別。
「ここはこうして…」
そんなとあるテスト前の放課後。
Fin.