*Pure love*
***
その日のホームルーム。いきなり先生が連絡をした。
「はい、もうすぐ遠足がありまーす!」
えっ?梅雨が終わりかけて、暑くなってるこんな時期に?
「本当は、5月の予定だったんだけど、色々あって延期になりました!」
周りの子たちも疑問の声を上げている。
「どこに行くとか、何をするとかのアンケートとります。…あんまり遠いところはなしね!」
ディズニーがいい、と言っている子がいて、先生が慌てて付け加えてた。
ふーん。
「花香はどうする?」
「うーん…。どこでもいいや」
「まぁ、微妙な時期だしね」
配られた私の紙は真っ白。
隣の席の子の紙はこれでもかとぐらい文字が並んでいて、黒く見えた。
「…んじゃあ、これでいいかな」
「パワースポット…って、花香そんなのに興味あったの?」
「別にないよ。でもとりあえず何か書かないといけないっぽいし」
『パワースポットに行く』
とりあえずで書いたんだけどなー…
***
後日。
「『パワースポットを歩こう』…」
配られた紙にでかでかと書かれた文字。
「みんなからのアンケートと、先生たちの会議で、これに決まりましたー」
よりにもよって
「「「えー!?」」」
これかい!
***
「これになったねー」
「書いた張本人もビックリよ」
「他に書いた子、いたのかな…」
「いないと思う」
休み時間、杏樹と遠足について話す。
「班のメンバーは…自由で男女混合、か。誰か誘う?」
「あ、さっき小坂井さんと約束したんだった!花香もいい?」
「早いね!小坂井さんならいいよ」
小坂井このはさん。掃除班のメンバーで、性格もいいし、仲良くしている。
「男子は…」
織本と桜田の方をちらっとみる。
やっぱりかなりの人気。
でも杏樹、一緒になりたいだろうし
…親友のために一肌脱ぐか。