*正しい思春期の切愛理由*
身体の底からのぼってきた強い感情が、ぽたぽたと降った。
まるで雨粒みたいに。
裂けた胸の痛みが、涙の雨になってこぼれ落ちる。
「瑞貴……泣いてるの……?」
細い指が頬をなぞり、大きな瞳が俺を見上げる。
じっと見つめ返すと、一歌の目にも涙が滲んだ。
分かんねーよ、一歌。
どうしてこのまま一緒にいられないんだよ。
気持ちが通じ合ってるのに。
離れなきゃいけない理由を見出せない。