*正しい思春期の切愛理由*
こんな話がある。
臓器移植をして命を救われた男性患者が、年月を経てめでたく結婚をしたという話。
その結婚相手の女性は、新居への引越しの際に男性の荷物からひとつの手紙を見つけ出す。
それは数年前、男性に臓器を提供した人物からの匿名の手紙だった。
内容は生きることに対する励ましの言葉。
そしてそれはなにより、彼女自身が数年前に書いた手紙でもあった。
彼女は数年前にドナーとして臓器を提供しており、名前も知らない相手に激励の手紙を送り、
男性は見ず知らずの人間からの臓器提供を感謝し、名も知らぬその人の手紙を大事にとっていた。
彼らは互いを知らぬままに出会い、結ばれたのだ。