*正しい思春期の切愛理由*
「あたしは瑞貴を好きだけど、瑞貴は違うんじゃないかと思って」
北原の呟きは、もう半分しか耳に入らないけど。
「一緒にいて凄く楽しいのに、凄く寂しいの」
あぁ――その感覚は知ってる。
すぐ傍にいるのに、いつでも触れられるほどの距離にいるのに、
一歌は俺の芯に触れてはくれない。
家族の枠組みで遮断された俺の心臓は、いつも、
欲しいものに手が届かなくて、寂しがって、
揺らいでる―――