*正しい思春期の切愛理由*
「やっぱ、外行こうぜ」
2階に上がる直前、俺は声を上げていた。
「は? やだよ、あちぃじゃん」
訳がわからないと顔に書いたまま却下する友達に、俺は食らい付いた。
「だからさ、ゲーセン行こう」
「はぁー? 瑞貴が金ねぇっつったんじゃん」
「いや、平気だったやっぱ」
渋る友達の背中を押すようにして、再び玄関の扉を開ける。
「あれ? 上がんないの?」
ちょうど通りかかった一歌が、手に盆を持ったまま突っ立っていた。
「あぁ、今日はやっぱ別んとこ行く」
「そう……」
俺は自分でも気づかないうちに、友達から見えないようドアの隙間に顔を突っ込んで会話をしていた。