*正しい思春期の切愛理由*

昨日、俺は孝太の彼女――隣のクラスの仁科沙耶(にしな さや)を本屋に連れて行った。

この間の中間考査の結果が悪かったとかで、次回のテストまでに成績を上げないと、孝太と別れさせられるとかなんとか、
つまりは面倒な親に面倒なことを言われたらしい。

それで困った孝太が、俺が使ってる参考書を本屋で一緒に探してやってと頼んできたわけだ。


「なんでお前も一緒に来なかったんだよ」


吐き捨てると、隣のサル顔が目を見開いた。


「だからぁ、俺は昨日、歯医者だったんだって。言ったろ? 白マスクのオヤジが嬉しそうに俺の歯を削りやがってよー」

「……勝手に虫歯になってんじゃねーよ、ばーか」

「はあ? なんだよそれ」


俺の理不尽な悪態に、孝太は眉をひそめる。


「何イラついてんの?」


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