*正しい思春期の切愛理由*
「んだよ。触りてぇって言っただけじゃん。誰のだっていいんだって。とりあえず触ってみてぇの。瑞貴だってそうだろ」
孝太は一応彼女持ちだ。
隣のクラスの子に告られて2週間前から付き合ってる。
俺より背が低くて勉強もダメだけど、小動物系の顔とノリの良さが女子には受けるらしい。
「……沙耶ちゃんに触らしてもらえば」
「ばっか、いきなりンなことできるわけねぇじゃん。まだチューもしてねっつの」
「チューとかいってんじゃねーし。キモ」
俺が笑うと、孝太は緑色のネットを両手で掴んで引っ張るように仰け反った。
「そーゆー瑞貴こそ、ねーちゃんの触れんじゃね」
そんな言葉に、体がこわばった。