真夜中の足音(中編)
「すいません。本当にわざわざ」
陽子は、部屋の前で、何度もお辞儀をした。

「いえ、警官として当たり前のことをしたまでですよ」爽やかな笑顔で答える。

「今度、是非、お礼にいきたいんですが、西警察署ですか?」

「あ、本当にそういうのは、結構ですよ!」手を振りながらおどける。「公務員なので、今はそういうのもうるさいので」

「あ、そうなんですか・・・。すいません」陽子は、自分が迷惑をかけているかもと、少し罪悪感を感じた。

「ですが、誰かに付けらたというのは気になるので、一度警察署の方にご相談に来てください。私からもそういうことがあったことは、報告しておきますので」

警察は対応が悪い。という陽子が警察に抱いていた印象は、その言葉でガラっと変わった。日本の警察は何て素晴らしいんだと。

「それでは、失礼します」

丸山は、テレビで見るような敬礼をすると、エレベーターの方へ廊下を歩いていった。

お辞儀をしながら、陽子はそれを見送ると、部屋に入った。

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