真夜中の足音(中編)
玄関まで出る。スリッパを履くのが、辛かったので、玄関の上がった場所から、上半身を伸ばし、鍵を開けると、少々勢いを強めにドアを押し開けた。
丸山は、そのままにしておくと、ドアが閉まってしまうので、自分の手でドアが閉まるのを押さえていた。
「あぁ、わざわざ、すいません。本当に」
陽子は、申し訳なさそうな表情をして、
「いやいや、結構ですよ。携帯が無いとお困りでしょうから」
丸山は人懐っこい笑顔を浮かべる。
「足は大丈夫ですか?」
丸山は、そう言葉を続けながら、玄関に入って来た。
陽子は、携帯を受け取ろうと自分の目の前に手を差し出す。
丸山は、陽子に携帯を渡す。
支えがなくなったので、ドアが自動的に閉まる。
カチャ・・・カシャッ
丸山は相変わらず、笑顔を浮かべていた。