真夜中の足音(中編)
中には、母親が裸にされ、縄で縛られていていました。
口には、何か詰められていて、喋れないようにされていました。
そんな母親に、誰かがさらに折檻を加えています。
囁くような声で、母に何かを呟きながら、その人が動くと、母は苦しそうな声を上げました。
母親が悪魔に掴まって生贄にされるのだ。と思いました。
その人の顔はこちらからは見えませんでした。
しかし、しばらくして気付きました。
その悪魔が父親だと。
私は混乱しました。なぜ、父親がこんなことをしているんだ。あんなに仲がよかったのに。
その時どうすれば良いのかわかりませんでした。母親を助けるべきなのか、誰かに知らせるべきなのか。ただ、その光景から目を離せませんでした。
私は、その地獄のような光景を眺めていたのですが、段々中で行われている妖気に当てられて、いつの間にか気を失ってしまったのか、気が付いたら、キチンと布団の中で寝ていました。
勿論、父親も母親もいつも通りでした。
その時、全て夢だったのかと思ったのです。
しかし、母親が殺された場所が裏の物置だと知り、あれが夢じゃ無いのだと確信しました。
父親は、やはり悪魔で、母親を殺して地獄に帰ったんだと」