真夜中の足音(中編)
それから、時々部屋の中で視線を感じることがあった。
電話を切った瞬間や、テレビを消した瞬間など、静寂が部屋を支配した時に、どこからか見られているような気配。
さらには、仕事から帰って来ると、家具や、冷蔵庫の中、洗面所の小物などの位置がずれているような気がする。
いずれも気のせいの範囲を超えないのだが、時々薄気味悪さを感じた。
しかし、ちょうど一ヶ月前から仕事が忙しくなり、終電まで働いては、帰っては寝るの生活を繰り返すうちに、そんな些細なことを気にしてられなくなった。