真夜中の足音(中編)
 ピーンポーン

丸山の動きが止まった。

 ピーンポーン

陽子は、二回目にして、なぜ丸山の動きが止まったのかを理解した。

こんな時間に、インタンホンが鳴るなんて。一体誰だろう?

疑問に思ったが、この際誰でも構わない。陽子はすがる思いで、深夜の来訪者に一縷の望みを託す。

 ピンポンピンポーン
 ドンドンドン

とうとうドアを叩き始めた。
明らかに、中に人がいることを確信している様子だ。

陽子の上に乗っていた体重が軽くなる。

陽子は、全身に入れていた力が、抜けていくのを感じた。

「誰でしょうか、こんな時間に」


丸山の顔が、元に戻っていた。

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