真夜中の足音(中編)
画面には、子犬のような顔をした安藤が映し出された。
もしかして、この男は自分のことを好きなのだろうか。
陽子は、こんな状況にも関わらずそんな考えが頭をよぎる。
しかし、すぐにそのことについて考えるのを止めた。
彼の身には、死の危険が迫っている。
しかも、それは自分のせいだ。
なんとかして、彼を追い返さなければ。今はそれを考えることに集中しなければならない。
丸山は、ドアをちょうど人が一人通れるくらい開ける。
そして、ガンストラップのボタンを外すと、拳銃に手をかけた。
何も喋らないが、追い返して来いということだろう。
無事に追い返さなければ、二人共撃たれるんだろうか。