真夜中の足音(中編)
足音
半開きになったドアをしばらく眺めていた陽子だが、ゆっくりとリビングに向かって歩き出した。
なぜそうしているのか、自分でもわからない。
ただ、そうしなければならない気がしたから。
段々、リビングが近付いて来る。それに伴って陽子の心拍数も上がってくる。
いつもは歩き慣れている廊下がやたら長く感じる。
汗が顎を滴り下に垂れていたが、陽子は気が付かなかった。
ついに、ドアノブに手をかけると、陽子は、初めてリビングに足を踏み入れるかのように、周りを確かめながら、ドアをくぐった。