真夜中の足音(中編)
「エ、エ・・・イヤー!」
何が起こったかわからなかった陽子は、部屋中に広がる血を見て叫び声を上げた。
その声を聞いて安藤は、陽子の方を振り返った。
犬のような人懐っこい笑顔をしていた。
「ね?これで警察呼ばなくても大丈夫でしょ?」
笑顔のまま、安藤は言い放った。
「な、何で殺さなくても!」
「罰ですよ、バツ」
「バツ・・・?」
「うん。ボクの獲物を狙ったバツ」
そして、安藤は拳銃の銃身を触って、「あつっ」と、言いながら、ジーンズの後ろのポケットに拳銃をしまった。