真夜中の足音(中編)
しばらく時間が経った。

陽子は、祈り続けた。

しかし、何も起きない。


足音も止まったまま。

ずっと同じ体勢をしていたため、陽子は身体中に痺れを感じた。


もしかしたら、気付かないうちに通り過ぎたのかも。
引き返したのかもしれない。
そもそも、足音自体空耳だったのかも。

陽子は、徐々に元気を取り戻すと、恐る恐る角の向こう側に首を伸ばす。


しかし、もう少しで向こう側が見えるというところで、身体が固まった。


目に入ったのは、地面に写った人影。

そして、すぐ側に感じる、人の気配。

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